Last-modified: 2023-05-27 (土) 12:53:29 (117d)
【ダイバート】 †
Divert*1.
航空機の運航において、当初の目的地でない地点に着陸すること。
「ダイバージョン」「代替地着陸」「目的地外着陸」とも呼ばれる。
出発地へ引き返して着陸する場合は特に「リターン」とも呼ばれる。
おおむね以下のような理由で必要となる。
- 目的地での着陸が危険であると判断された場合。主に天候による。
- 滑走路が閉鎖された場合。天候不順・航空事故・災害・テロリズム・紛争などによる。
- 燃料が不足し、目的地に辿り着けない場合。故障による燃料漏れ、予期せぬ戦闘*2などによる。
- 可及的速やかに着陸しなければならない緊急事態。機体故障*3・乗客の急病などによる。
- 航空交通管制機関からの応答がないか、着陸を許可されなかった場合。
基本的には近隣の飛行場・空港に問い合わせ、航空交通管制から着陸許可を受けた上でダイバートを行う。
しかし、緊急事態では事後のトラブルを承知の上で着陸を強行したり、そもそも滑走路ですらない場所に着陸する事*4もある。
例えば、民間機が軍事基地に着陸した場合、乗客が軍事機密を目撃しないよう拘束隔離される場合がある。
また、自動車道や運河などに停まった場合、事後処理が終わるまで現場を封鎖しなければならなくなり、交通事情に甚大な影響を及ぼす。
旅客機・貨物機でダイバートが生じた場合、航空会社はその乗客・貨物を当初の目的地まで運送する義務を負う。
再出発が困難な場合は鉄道などでの代替輸送を、また時間がかかる場合には乗客の宿泊も手配しなければならない。
これにかかる予定外の費用は原則として航空会社側が負担するが、ダイバート発生時の補償をしないという条件で契約が交わされる場合もある。
関連:フライトプラン テクニカルランディング
*1 一部では「Dive out」の略語として紹介されている文献もあるが、これは誤り。
*2 全速力で戦闘機動を繰り返せば、巡航速度より遙かに多くの燃料を消費する事になる。
*3 しばしば致命的なものであり、着陸できず墜落に至った事例は枚挙に暇がない。
*4 「不時着」とも呼ばれる。