Last-modified: 2016-09-04 (日) 10:54:42 (295d)

【ソナー】(そなー)

SONAR :SOund Navigation And Ranging (音による航法と測距).

超音波を用いて水中の探索・測距を行う装置。
「超音波探信儀」と表記する事もあるが、日本語でも「ソナー」と称するのが最も通りがよい。

希に「アスディック」(ASDIC: Anti-Submarine Detection Information Committee、対潜探知情報委員会)と呼ばれる場合もある。
これは兵器システム構成要素としてのソナーが当初から潜水艦対策として研究されていた事に由来する。

自ら音を発する「アクティブソナー」と、自らは音源とならず受動的に音を解析する「パッシブソナー」に大別される。
パッシブソナーは情報確度や有効識別距離に劣るが、別のソナーや生物の聴覚に重大な影響を与える事はない。
アクティブソナーは『大音響』で別のソナーに察知されるが、情報の精度が高く、測量や非軍事用途に優れる。

設置位置による類別

バウソナー艦艇の艦首に備えられるもの。
船体に固定されるため運用が比較的容易で、前方の広範囲を捉えられるため一般的。
ソナーポッド水上艦の船底などに装備されるポッド
広い角度の音波を探知できるが、自艦の雑音を拾いやすいため一般的でない。
曳航式ソナー
(TASS)
艦尾からワイヤーで引きずるタイプ。
船体から距離を置けるため自艦の雑音を避けやすい。
可変深度ソナー
(VDS)
艦艇から海中へ吊り下げられ、変温層下の潜水艦を探知するのに使用される。
ただし、使用中は母艦の運動性が制限される。
エコーサウンダー船底から下方へ音波を発するアクティブソナー。
魚群探知機や水中用高度計に使用される。
サイドスキャンソナー船腹に装備されるアクティブソナー。SLARのソナー版。
海底測量が主目的。
ソノブイ対潜哨戒機から投下し、海面に浮くタイプ。
複数を投下することで広い範囲を捜索できるが、使い捨てのため高コスト。
ディッピングソナー対潜ヘリコプターからワイヤーで海面に吊り下げるタイプ。
ヘリの機動力を活かしつつ、ソノブイよりも高精度な捜索ができる。
ソーサス
(SOSUS*1
海底に設置される固定式の音響観測網。
性能や所在は軍事機密につき詳細不明。
冷戦が終結するまではこの種のソナーが存在する事自体が機密事項だった。

生態系への影響

高周波聴覚を持つ海棲生物がアクティブソナーによって悪影響を受けているという説がある。
潜水艦などの大出力ソナーを至近距離で浴びた場合、群れの大量死などを引き起こす、とされる。

生物が聞き取ったソナー音が恐怖や闘争本能を刺激し、異常行動を誘発する可能性はある。
また、高出力の軍用ソナーは、その振動そのものが生体組織に致死的な影響を与えている可能性もある。
イルカ・クジラなどの海棲哺乳類やマグロなどの大型魚類の大量死は実際に何度も確認されている。

この点について環境保護団体による訴訟も起きており、海軍に重大な過失はない、との判例が確認されている。

法学上、人間(軍人を含む)には生存権が保証されるが、野生動物に関してそのような保証はない。
よって、軍隊がソナーを使う事は、たとえそれがイルカの大量死を意味するとしても、正当な行為とみなされる。
現状の技術では、軍隊がソナーで索敵しなければ多数の人命が失われる事になるからだ。


*1 Sound Surveillance Systemの略。

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