Last-modified: 2019-06-29 (土) 20:50:20 (143d)

【セスナ172】(せすないちななに)

Cessna 172 "Skyhawk(スカイホーク)"*1.

アメリカのセスナ・エアクラフト社が1950年代から開発・生産・販売している単発レシプロ軽飛行機
前作の「モデル170」をベースに、降着装置尾輪式から前輪式に改め、主翼の外板を製から金属製に変更した。

1955年に試作機が初飛行し、翌年から顧客への引き渡しが開始。
以後、後述のように数々のバリエーションが生産され*2、現在までの総生産数は45,000機以上に達している。

製造数が多いため、練習機や撮影用の事業用機から個人所有の遊覧機までゼネラル・アビエーションでの採用が多い。
これは高翼式のため安定性が高く、習熟した操縦教官や整備士が多いため操縦学校で多く採用されており訓練を受けた人間が多いこと、中古機やアフターパーツが豊富に流通しており価格が安いことなどが主な要因となっている。

また、軍用機初等練習機連絡機COIN機など)としても採用されており、アメリカ軍では「T-41『メスカレロ*3』」の型式で呼ばれている。

スペックデータ(172R)

乗員1名
乗客数3名
全長8.28m
全高2.72m
翼幅11m
翼面積16.2
アスペクト比7.32
翼型NACA 2412
空虚重量767kg
総重量1,111kg
燃料容量212L
エンジンライカミング IO-360-L2A 水平対向4気筒×1基(出力160hp(120kW))
プロペラ金属製2枚翅固定ピッチプロペラ
巡航速度226km/h
失速速度87km/h(エンジン停止、フラップ下げ)
超過禁止速度302km/h(指示対気速度(IAS))
航続距離1,289km(予備45分、出力55%、高度12,000ft)
上昇限度4,100m
上昇率3.66m/s
翼面荷重68.6kg/
アビオニクスオプションでガーミン(Garmin)G1000 グラスコックピットを装備可能


バリエーション

  • 172:
    初期生産型。4,195機製造。「1956年モデル」ともいう。

  • 172A:
    垂直尾翼の平面形状を矩形からテーパー翼に変更し、燃料搭載量を若干増やしたモデル。
    「1960年モデル」ともいう。

  • 172B:
    「1961年モデル」ともいう。
    ランディングギアの長さを幾分か短縮させ、エンジンのマウント位置を3インチほど前方にずらしてエンジンカウルを再整形、更にプロペラスピナーの先端を鋭くさせ、空力的な性能向上を狙った。
    「標準装備型」と「デラックス型」の二種類が製造され、後者に「スカイホーク」という愛称がつけられた。
    デラックス型には当時の軽飛行機ではまだ珍しかったジャイロ計器を採用し、計器飛行を可能にした。
    また、着陸装置フロートに変えた水上機型も作られた。

  • 172C:
    オプションでオートパイロットの搭載が選択できるようになった。
    また、エンジン始動方式がリコイルスターターからセルモーターによるキースターター方式に変更された他、オプションで貨物室にチャイルドシート2席を増設することができるようになった。
    「1962年モデル」として889機が製造された。

  • 172D:
    機体構造の見直しによりキャビンの後方に窓が設けられ*4、後方の視界が確保された。
    また、ラダーペダルとブレーキペダルを統合したペダルを備え、タキシング時の操縦性が向上した。
    「1963年モデル」として1,146機が製造された。

    • 172D パワーマチック:
      172DのエンジンをコンチネンタルGO-300Eに変更し、出力を175hpに向上、巡航速度を11マイル向上させた高性能型。

  • 172E:
    電装系の漏電遮断器をヒューズからサーキットブレーカーに変更し、計器パネルの再設計を行った型。
    1,401機製造。

  • 172F:
    フラップの操作を人力から電気駆動式に変更したもの。
    フランスでもランス・セスナ社が「F172」として1971年までライセンス生産していた。
    計1,436機が製造された。

    • T-41「メスカレロ」:
      172Fをアメリカ空軍初等練習機として買い上げたもの。

      • T-41A:
        アメリカ空軍向け練習機型。

      • T-41B:
        アメリカ陸軍向け練習/連絡機型。

      • T-41C:
        T-41Bのアメリカ空軍向け生産型。

      • T-41D:
        T-41Bをベースに装備を簡略化した軍事援助計画向け。

  • 172G:
    1966年から生産されたモデル。従来機より鋭いプロペラスピナーを導入。1,597機製造。

  • 172H:
    1967年から生産されたモデル。
    前脚の緩衝器の長さを短縮して空気抵抗の低減を図った。
    また、新しい亀裂の入りにくいエンジンカウルが開発され、同時に、エンジンのマウントも振動吸収性のあるものに変更されてコックピット内の騒音が低減された。
    839機製造。

  • 172I:
    エンジンをライカミング社製のO-320-E2D(出力150hp)に変更したもの。
    スピードが向上し対気速度で130mph(209km/h)から131mph(211km/h)へとなった。
    この形式から、操縦計器の配置がT型配置になった。
    1,206機製造。

  • 172J:
    主翼を支柱で支持して補強するスタイルから片持ち式に変更したもの。
    販売ディーラーの強い反対により生産されず*5

  • 172K:
    垂直尾翼の翼端が再設計され、リアウィンドウも再整形されたものとなった。
    オプションで飛行距離延長のために翼内に52ガロンの燃料タンクを増設できた。
    「1969年モデル」として1,170機が製造された。
    1970年製からは主翼翼端が紡錘型に整形され、グラスファイバー製となった他、座席が全関節式となっている。
    1970年製は759機が製造された。

  • 172L:
    主脚の支柱が板バネ式からテーパーチューブになり、ハの字状の主脚になった。
    その他、垂直尾翼直前のドーサルフィンが前方に長く延ばされ、尾翼とのつなぎ目は滑らかに整形された。
    1971〜1972年にかけて1,811機が引き渡された。

  • 172M:
    主翼にドループド・ウィング・チップ*6を導入し、低速飛行時の操縦性が改善された。
    1974年製からはオプションとして「スカイホーク供廛僖奪院璽犬導入された。
    また、1976年からは標準型172の販売を中止し、全機が「スカイホーク」の名前を使用するようになった。
    1973〜1976年までに合計7,306機が製造された。

  • 172N:
    「スカイホークN」「スカイホーク/100」の名前で呼ばれた型。
    昇降舵のトリムをオプションで、事前設定式フラップを標準で装備した。
    1978年製からは電力システムが28ボルトから14ボルトに低減され、空調システムがオプションで選べるようになった。
    1979年製からはフラップ展開可能な機体速度が、角度10°で115ノットまで増加した。
    また、翼内燃料タンクの容量が、オプションで66ガロンに増やすことができた。

  • 172O:
    製造されず。

  • 172P:
    172Nのエンジンの信頼性問題を改良した型。
    フラップの設定角度が最大40°から30°に減らされ、最大離陸重量が増大した。
    オプションで62ガロンのインテグラルタンクを選択できた。
    1982年製からは着陸灯が機首から翼に移され、また、電球の寿命が長くなった。
    1983年製から機内騒音が改善され、キャビンの窓が厚くなった。
    1986年生産中止。

  • 172Q カットラス:
    搭載エンジンを180hpを発生させるライカミングO-360-A4Nに置き換えたもの。
    172Pと並行で少数のみ製造。

  • 172R:
    1997年に生産再開された型で、モデル172シリーズで最初に燃料噴射式エンジンを搭載した型式。
    エンジンは燃料噴射式のライカミングIO-360-L2Aを搭載(定格出力180hpを160hpに減格使用)。
    2013年ごろに販売終了したものと思われる。

  • 172S:
    現在生産・販売されている型。
    エンジンは172Rと同様だが定格出力180hpとなっている。
    現在の型には標準で革張りシートとガーミンG1000電子飛行計器システムを装備し、グラスコックピット化している。


*1 当初は「セスナ172」の名前で販売されていたが、現在は「スカイホーク」の名前で販売されている。
*2 特に1960年代は自動車と同様、毎年のようにモデルチェンジを繰り返していた。
*3 Mescalero:アパッチ族の支族の名。
*4 セスナ社では「オムニビジョン」と呼称。
*5 なお、コンセプト自体はモデル177「カーディナル」に引き継がれた。
*6 翼端が下に折れ曲がっている翼。セスナ社では「キャンバーリフトウィング」と呼称。

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