Last-modified: 2022-10-29 (土) 01:14:05 (149d)
【スパイク】 †
Spike.
- 鋭い突起を持つ物体、または突起そのもの。いわゆる「くさび状」の形状をしているもの。
一般的には、杭や釘など「何かに刺して保持するための器具」を指し、刃物や弾丸は含まれない。
靴やタイヤに使う滑り止めとしての短いスパイクを指す事もある。
軍事においても一般的には建物やコード類などを固定する釘や、障害システムを支えるための杭を指す事が多い。
変わった所では、車両を待ち伏せする際に道路の幅全体にスパイクを敷き詰める事がある。
走行中の車両がここを通過すれば全てのタイヤが同時にパンクし、横転やスリップなどの危険を避けつつ車両を停止させて人質救出や誘拐を行える、という寸法である。
歴史を見る場合、おそらく軍用のスパイクとして最も有名なのは、突き刺して人間を殺傷する武器だと思われる。
火器が発明されるまで、戦争における殺傷能力の基本は鋭い矢尻や槍の穂先などといったスパイク類であった。
これは「鋭い先端を突き刺す」という行為が、人間の筋力をもっとも効率的にマンストッピングパワーに変換できる動作であった事と関係する。
刃物で切り裂く場合は血管や筋肉を正確に切り裂く技術か時間的余裕を要する上、頑丈な鎧を貫通する能力は期待できない。
このため、刀剣類はもっぱら無抵抗な相手や非武装の相手を始末するために、または槍や弓などを持ち込めない屋内で戦うために用いられてきた。
一方でスパイク状の鋭利な先端であれば、素人が使っても突いて胴体に当てさえすれば重傷になり、鎧を貫く事も容易である。
扱いの単純さのため重量の許す限り大型化でき、密集隊形で長大な槍を携えて待ち伏せ、突き刺したり殴り倒すと同時に槍自体を即席の壁として利用する事も多かった(いわゆる"槍衾")。
同様の理由から、障害物や落とし穴にスパイクを仕掛け、乗り越えようとした者に突き刺さるようにしておく事も多い*1。
人間が静止した器物に衝突しても滅多に致命傷にはならないが、衝突先が鋭利な先端を持っていれば話は別である。
スパイクに体重をかければ皮膚は容易に突き破られ、筋肉や血管を傷つけられた人間は事実上行動の自由を失ってしまう。
また、艦載砲の発展以前の艦艇では「衝角(ラム)」と呼ばれるスパイクが船首に設けられ、白兵戦に先んじて船ごとの体当たりで敵船の動きを封じる戦法が採られていた。
- レーダースパイク(RADAR spike)の略。
敵からミサイル誘導用レーダー波の照射を受け、ロックオンされたことを示す符丁。
由来は、理科の分野で「スパイク」という言葉が「ひときわ大きな振幅を持つパルスを検知した」という意味を持っていることにある。
平時においては重大な国際問題になりうる。
関連:レーダー警戒受信機
- イスラエルのラファエル(Rafael Advanced Defense Systems)社で開発された対戦車ミサイル。
第三世代の対戦車ミサイルで、ミラン?やFGM-77「ドラゴン」?の後継として開発された。
ミサイル本体と三脚付き発射台と射撃管制システムで構成される。
ミサイルは撃ちっ放し能力を持ち、誘導方式は赤外線画像シーカーによる赤外線誘導を持つ。
弾頭はタンデムHEATを採用している。
歩兵による携行の他、装甲車やヘリコプターに発射機を搭載することが出来、スペイン陸軍ではティーガー攻撃ヘリコプターに搭載している。
各種派生型も開発されている。
スペックデータ 全長 167cm 砲身内径 17cm 弾体直径 17cm 重量 スパイク-ER(ヘリコプター搭載時):
34kg(ミサイル本体とキャニスター)
55kg(ランチャー)
187kg(ランチャー+ミサイル4発)
スパイク-MR/ER(地上発射時):
13.3kg(ミサイル本体)
5kg(発射制御装置)
3kg(三脚)
1kg(バッテリー)
4kg(赤外線照準機)推進方式 固体燃料ロケットモーター 発射速度 発射準備に30秒、再装填に15秒 最大射程 800m(スパイク-SR)
2,500m(スパイク-MR)
4,000m(スパイク-LR)
8,000m(スパイク-ER)
25,000m(スパイク-NLOS)照準装置 光学照準機(倍率10x) 弾頭 タンデムHEAT 信管 着発信管 誘導方式 赤外線誘導 シーカー CCD/赤外線画像(IIR)併用式シーカー
【派生型】
- スパイク-SR:
短射程型。射程は200〜800m。
最も小型のモデルで歩兵が肩で担いで使用する。
- スパイク-MR:
歩兵か特殊部隊が使用する中射程型。
射撃管制装置、バッテリー、サーマルサイトは他のスパイク派生型でも用いることが可能。
射程は200〜2,500m。
- スパイク-LR:
歩兵か軽装甲車両が使用する長射程型。
MRとサイズは同じだが、通信用の光ファイバーケーブルが追加されている。
最大射程は4,000m、装甲貫徹能力はRHA換算で700mm。
- スパイク-LR2:
最大射程を10kmに延伸した型。
- スパイク-LR2:
- スパイク-ER:
超長射程型。かつては"NT-Dandy"あるいは"NT-D"として知られていた。
通常は装甲車やヘリコプターなどに搭載して使用され、フィンランド軍沿岸防備旅団では対舟艇ミサイルとしても使用されている。
最大射程は8,000m、装甲貫徹能力はRHA換算で1,000mm。
- スパイク-ER2:
双方向RFデータリンクを導入し、最大射程を倍化した型。
- スパイク-ER2:
- スパイク NLOS:
超々長射程型。
重量は70kg、最大射程は25km〜30kmといわれている。
通信は光ファイバーケーブルから無線式となり、見越し圏外への発射を可能とするため、中間誘導にGPSを使用できる。
- スパイク-SR: