Last-modified: 2016-01-17 (日) 22:31:02 (495d)

【スパイ】(すぱい)

spy.

組織的に情報収集とその分析(諜報)を行う機関。およびその構成員。
他者の諜報工作を防いで機密情報を保守する職務(防諜)も担当する*1

類義語に「諜報員」「情報機関員」「工作員」「密偵」「間諜」「隠密」「軍事探偵」「エージェント」「第五列」など。
また、味方側の人物については「ケースオフィサー」「協力者」とも呼ばれる。

諜報機関そのものは合法であるか、少なくとも合法な名目を装って設立される。
しかし、諜報機関のスパイはしばしば違法な手段や、知っていると罪に問われるような情報を扱う。
多くは「事実の作成*2」をも職務に含み、殺人・窃盗・脅迫・誘拐を行う事もある。

多くの諜報機関は、実際に情報収集を行う人材を「現地調達」するか、現地出身者から選ぶ。
「外国人」は国籍だけで警戒の対象になり得るため、諜報機関の正規構成員が現地に潜入する事は滅多にない*3
こうした諜報工作では賄賂・脅迫・蜜の罠・詐欺*4・囚人に対する「秘密裏の釈放」・任務完了後の暗殺などが多用される。

合法な戦闘員と違って非合法的な存在であり、発覚して逮捕されれば捕虜ではなく犯罪者として扱われる。
死刑を廃止した国であっても、スパイに対しては極刑を下せる例外を持つ国は少なくない。*5
また、スパイ容疑は暗殺の主要動機でもあり、防諜のために秘密裏の処刑を受ける人間も少なくないとされる。

外交特権とスパイ活動

公式な外交官が同時にスパイである場合、派遣元政府の同意がなければ逮捕拘禁も強制送還もできない。
このような事実が発覚した場合、国家は当該人物に「ペルソナ・ノン・グラータ」を宣告し、本国に帰還させて後任を派遣するよう要請するのみに留まる事が多い。

そもそも外交官は、他国の情報を収集して本国に報告する事を国際的に認められた職業である。
当然、公共メディア・専属スタッフ・他部署から情報を集める事も日常の職務に含まれる。
その情報にスパイの活動成果が含まれるのは公然の秘密だが、これをもってスパイ容疑にかける事はない。

ただし、この慣習は近代になってから成立したもの。
紛争時の外交交渉が決裂した場合、使節は生きて帰れないのが歴史上の通例であった。
外交使節の多くは敵情を視察する密偵を兼ねていたためである。

世界の主な諜報機関

非軍事的スパイ

外交・軍事分野以外でも、情報の収集・操作を企図した組織的活動は密やかに、または公然と行われている。

例えば、大企業・財閥・投資家などは競合他社の企業秘密を収集・奪取するための「産業スパイ」を抱えているとされる。
これはリバースエンジニアリングのための技術情報、有望な中小企業の買収、株式相場を乱高下させる仕手戦などに必要とされる。
国家の諜報機関も、国内の経済基盤を強化するためにスパイを動員したり、収集した情報を国内企業に譲り渡す事があるという。

また、プロスポーツなどの興行においても、対戦相手や運営団体に関する情報収集は必須であるとされる。
加えて、競技団体は興行を打つために開催候補地や参加する選手団に関する情報収集を行い、それに応じて運営方針を定めている。
スポーツ興行の背後では巨大な利権が動いているため、賄賂や横領などといった犯罪的手法の余地も大きい。
また、興行収入を集めるために選手を買収して試合内容を操作する事もしばしば行われている(いわゆる「八百長」)。

インターネットにおいても様々な人間が様々な動機で大衆への印象操作を行っている。
ネット上に拡散した情報を隠蔽するのはほとんど不可能に近いため、こうした分野のスパイは意見を表明する事で世論を誘導しようとする。
また、他者からの好評を意図して得るのは困難である*6ため、典型的には何かの名誉を毀損する事によって目的を達成しようとする。
情報発信者はみな何かを賞賛し、あるいは何かを侮蔑するわけだが、それが赤裸々な本音なのか計算された演出なのかは判断が困難である。
また、仮に演出であるとわかったとして、そこから発言者の意図や立場を特定するのはさらに困難である。
発言者の意図を探る試みは「何らかの合理的な意図がある」という先入観に縛られるため、悪戯・狂気の沙汰・偶然の一致を正しく解釈するのが難しい。


*1 諜報を防ぐためには、相手がどこから何を探ろうとしているかを探り出す必要がある。
*2 政治家が汚職事件を起こした「事にする」、病死・事故死した「事にする」仮想敵国反政府勢力が蜂起「できるようにする」など。
*3 冷戦期には、相手勢力の国家に一般市民として生活して情報を集める「モグラ(Mole)」が多数送り込まれたという。
*4 当局に拘束された段階で初めて「自分がスパイに仕立てられていた事に気付く」スパイもいる。
*5 ただし、防諜に関する法制度の不備のために各国が我が物顔で諜報活動を行っている「スパイ天国」と呼ばれる国もいくつか存在するという。
*6 潜在的な問題や欠陥を隠蔽しなければならないため、誰かが情報を精査して“真相”を暴いてしまう可能性を無視できない。
  そして、その可能性は対象が好評であればあるほど、注目を集めれば集めるほど増大する。


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