Last-modified: 2016-11-20 (日) 20:21:18 (2508d)
【ステン】 †
第二次世界大戦期にイギリスが開発した短機関銃。ステンガンとも。
大戦序盤、イギリスも参加した西部戦線が陥落した際、英軍は撤退を急ぐために大量の装備を投棄した。
これによって生じた甚大な兵站不備を緊急に補うために設計されたのが本銃である。
とにかく安価で容易に生産できる事が最優先されている。
弾薬補充のコストを考慮して弾丸規格をドイツ軍の9mmルガーと共通化するほどだった。
性能上の不満は明らかだったが、確かに生産性は高く、大戦中のイギリス軍にとっては貴重な歩兵小火器となった。
スペックデータ(Mk.II) †
設計・製造社 | エンフィールド王立造兵廠 バーミンガム・スモールアームズ ラインズ・ブラザーズなど |
口径 | 9mm |
全長 | 760mm |
銃身長 | 196mm |
重量 | 3,180g |
使用弾薬 | 9mmパラベラム弾 |
装弾数 | 32発(箱型弾倉) |
作動方式 | シンプル・ブローバック方式/オープン・ボルト撃発 |
発射速度 | 約500発/分 |
銃口初速 | 365m/秒 |
有効射程 | 46m(50ヤード) |
主なバリエーション †
- Mk.1:
初期生産型。木製製品を多用している。
約10万挺が製造されたが、生産工程や材質などの問題で動作不良が多かった。
- Mk.2:
Mk.1の改良型で第二次世界大戦中最も多く生産されたモデル。約200万挺が製造された。
耐久性は向上したが、給弾不良は改善されず。
- Mk.2(S):
サイレンサー装備モデル。主に空挺部隊に配備された。
- Mk.2(S):
- Mk.3:
Mk.1の機関部をさらに簡易化したもの。
しかし前線での評判は悪く、WWIIが終了すると真っ先に制式から外されている(1947年)。
- Mk.4:
空挺部隊向けモデル。試作のみ。
ストックを回転して折りたたむ事により全長を短くできた。
- Mk.5:
最終生産型モデル。
木製グリップ・銃床を採用。
照準器が改正され、リー・エンフィールド小銃用の銃剣を装着可能。
- Mk.6:
Mk.5に消音サイレンサーを装備したモデル。
主にSASに支給された。
イギリス軍で最後まで制式に残った特殊型である。
独自再設計型 †
- ステンMk.I(カナダ製):
本土のMk.Iと違い木製部品を使っておらず、外観はMk.IIに近い。
- ロータリーマグ・ステン:
カナダで開発されたステンガン。
マガジン投入口が下方になっており、バレルカバー前部に木製の小型グリップを装備する。
- オーステン(オーストラリア製):
Mk.IIをベースに、MP40?に似た方式のピストルグリップが機関部と弾倉投入口の下についている。
また、やはりMP40のものをコピーしたユニット式遊底と折りたたみストックとを備える。
- デンマーク・ステン・タイプ短機関銃:
デンマークのレジスタンスがステンMk.IIをベースに開発した短機関銃。
一部パーツはオリジナルと違うものだがシルエットはステンMk.IIである。