Last-modified: 2023-01-13 (金) 13:45:11 (462d)

【スターウォーズ計画】(すたーうぉーずけいかく)

SDI(Strategic Defense Initiative).

1983年、当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンが提唱した本土防衛戦略構想(ミサイル防衛)。
正式にはSDIと呼称されたが、当時流行した映画にちなんで「スターウォーズ計画」と渾名された。

主目的はアメリカ本土を標的とする弾道ミサイルの迎撃態勢を構築する事。
そのための手段として、ミサイル、レールガン、レーザーなどを搭載した軍事衛星の打ち上げを試行。
レーガン大統領の掲げた「強いアメリカ」政策の一環として大々的に宣伝された。

実際の所、技術的にも予算的にもあまり現実的な計画ではなく、具体的な成果の発表なく沙汰止みとなった。
冷戦末期の対ソ連プロパガンダ、あるいは軍事ケインズ主義的な予算誘致策であったという説が有力。
当時のアメリカはベトナム戦争の敗北によって冷戦下での国威を損なっており、軍事力の誇示を求める民意が少なくなかった。

レーガンの任期中に冷戦が終結したため、核戦争に対する楽観が蔓延して予算が下りなくなった、という説もある。
SDIは技術的見地から批判の絶えない計画だったが、その研究が21世紀の兵器技術に影響を与えたのも一面の事実ではある。

また、SDIという構想は、相互確証破壊に依存していた冷戦の社会構造に甚大な衝撃をもたらした。
相互確証破壊が破綻しているかもしれないという疑義により、末期ソ連政権は軍事的・外交的な選択肢を著しく制限されていたのである。

ソ連の科学者・諜報機関は状況証拠から判断してSDIは実現不能であろうと推定していた。
だが逆説的に、実現不能であるが故に「実現不能であるという事実を指し示す物的証拠・科学的根拠」も存在しなかった。

ソ連を崩壊させた外交・内政・経済要因の多くはレーガン政権時代に顕在化したもので、それは核戦争の恐怖が大きく係わっている。
冷戦終結に至る経緯の多くはアメリカ側の謀略に起因するが、SDIという虚妄もまた巨大な謀略の一部であったと言える。

関連:MIRACL AL-1 ASAT 軍事ケインズ主義 ミサイル防衛 アメリカ宇宙軍


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