Last-modified: 2022-02-14 (月) 07:58:40 (92d)
【コア部隊】 †
陸上自衛隊の組織の一つで、平時の充足率を定員の20%に抑えた部隊。
現在の陸上自衛隊は、組織全体が常態的に定員割れ*1となっている。
この状況下で人員を均等に割り振ると、多数の部隊が戦力弱体化・機能不全を引き起こす危険性がある。
かといって、重要な部隊の充足率を優先させると「紙面上にしか存在しない、実働不能の幽霊部隊」が生まれてしまう。
後者の決断を前提に、あえて作られた「全く機能しない部隊」がコア部隊である。
平時のコア部隊には中核となる幹部・陸曹のみが配置され、即応予備自衛官の訓練などを担当する。
有事には予備自衛官が集中的に配属され、これによって一時的に定員を満たして活動する*2。
コア部隊と方面混成団 †
当初、コア部隊は第一線の師団・旅団の隷下に置かれていた。
しかし、全く機能しない部隊を常に抱えておくのは管理コスト上無用な負担を伴う*3。
また、練度の衰えた予備自衛官に、現役精鋭部隊と同じ技術水準を要求するのは無理がある。
このため、近年ではコア部隊の運用を効率化・合理化するために以下の改編が順次進められている。
現在、各方面隊では1個の方面混成団を隷下に置いており、各混成団には普通科1〜2個連隊相当のコア部隊が組み込まれている。
なお、方面混成団は平時にコア部隊を運用し、訓練任務などを実施する部隊でもある。
よって、予備自衛官や自衛官候補生などの教育部隊も方面混成団に組み込まれる。
主なコア部隊 †
ここでは連隊規模の部隊のうち、全体がコア部隊であるものを記す。
部隊名が太字の部隊は、設立当初からコア部隊であったものである。
北部方面隊 | |||
部隊名 | 上級部隊 | 所在地 | 備考 |
第52普通科連隊 | 北部方面混成団 | 北海道・真駒内駐屯地*4 | |
東北方面隊 | |||
部隊名 | 上級部隊 | 所在地 | 備考 |
第38普通科連隊 | 東北方面混成団 | 宮城県・多賀城駐屯地*5 | コア化された当初は第6師団の隷下にあった。 |
東部方面隊 | |||
部隊名 | 上級部隊 | 所在地 | 備考 |
第31普通科連隊 | 東部方面混成団 | 神奈川県・武山駐屯地*6 | コア化された当初は第1師団の隷下にあった。 |
第48普通科連隊 | 群馬県・相馬原駐屯地*7 | *8 | |
中部方面隊 | |||
部隊名 | 上級部隊 | 所在地 | 備考 |
第49普通科連隊 | 中部方面混成団 | 愛知県・豊川駐屯地 | 創設時は第10師団の隷下にあった。 |
第47普通科連隊 | 広島県・海田市駐屯地*9 | 創設時は第13旅団の隷下にあった。 | |
西部方面隊 | |||
部隊名 | 上級部隊 | 所在地 | 備考 |
第19普通科連隊 | 西部方面混成団 | 福岡県・福岡駐屯地 | コア化された当初は第4師団の隷下にあった。 |
第24普通科連隊 | 宮崎県・えびの駐屯地 | コア化された当初は第8師団の隷下にあった。 |
*1 それでも人員充足率90%以上の水準は維持している。
なお、これは世界的に見ても(徴兵制を実施していない国家の陸軍としては)事実上の限界に近い水準である事は付記しておく。
*2 戦略級部隊単位である方面隊・師団及び旅団の予備兵力として運用されるものとみられる。
*3 実働兵力が「小隊」「班」規模であるにも関わらず、連隊規模の兵站管理体制が必要になる。
*4 第2普通科中隊は旭川駐屯地、第3普通科中隊は帯広駐屯地にそれぞれ所在。
*5 第3・第4普通科中隊は青森県・八戸駐屯地に所在。
*6 連隊本部と本部管理中隊のみ所在。他の部隊は板妻・朝霞・習志野・北富士の各駐屯地に所在。
*7 連隊本部と本部管理中隊のみ所在。他の部隊は高田・松本・新発田・宇都宮の各駐屯地に所在。
*8 当初は第12旅団の隷下部隊として編制されたが、2013年に同旅団の隷下部隊としては一旦廃止の上、東部方面混成団隷下部隊として再創設された。
*9 第1普通科中隊のみ香川県・善通寺駐屯地に所在。