Last-modified: 2019-04-09 (火) 14:25:22 (9d)

【グリペン】(ぐりぺん)

JAS39 "Gripen*1".

スウェーデンのサーブ社が中心となって結成されたJASグループにより、ドラケン及びビゲンの後継として設計されたマルチロールファイター

スウェーデンの国防状況を考慮して造られた機体は、同世代の戦闘機と比較すると比較的保守的な設計と小型なサイズゆえに搭載能力航続距離こそ少ないが、高いSTOL能力と整備性を持ち、補強なしの高速道路からでも離着陸できるようになっている。
また、初期・運用経費などが他の戦闘機のおよそ1/2〜3/4程度に抑えられるとしている。

上記の特徴により、グリペンに興味を寄せている国は非常に多く、売り込みも活発に行われており、いくつかの国が採用を決定している。
最近ではプローブアンドドローグ空中給油装置の追加やデータリンクおよびIFFなどを換装したNATO標準仕様のJAS39C/Dが実用化されており、さらには推力を増したF414エンジンや、アビオニクスを強化した「グリペンNG」の開発も行われている。

過去にはアクティブフェイズドアレイレーダーIRST曳航式デコイコンフォーマルタンクなどを追加し、殆ど別の機と言っても過言では無い"SUPER-GRIPEN"が計画されていた。

スペックデータ

タイプJAS39AJAS39BJAS39CJAS39DJAS39EJAS39F
乗員1名2名1名2名1名2名
全長14.1m14.76m14.1m14.76m15.2m14.1m
全高4.5m
全幅8.4m8.6m
翼面積30.0
空虚重量6,622kg7,000kg6,800kg7,100kg-
兵装搭載量5,300kg6,450kg
最大離陸重量12,500kg14,000kg16,500kg-
内部搭載燃料量3,000L
(2,400kg)
2,850L
(2,280kg)
3,000L3,780kg-
ハード
ポイント
8ヶ所10ヶ所
エンジンターボファン×1基
ボルボ・フリーグモーターRM12?GEF414-GE-39E?
推力54kN/80.7kN(A/B使用時)64.0kN/98kN(A/B使用時)
最高速度Mach2.0
(E型はマッハ1.2で超音速巡航可能)
航続距離-約3,000km
(増槽有り)
-2,500km
(増槽無し)
4,070km
(増槽あり)
-
戦闘行動半径800km1,300km
(30分間の戦闘含む)
800km
実用上昇限度15,240m
Gリミット+9G、-3G
滑走距離
離陸/着陸
7×400m/7×500m(制動傘無し)
基本装備
構成
空対空:BVRAAM×4発、視程内射程(WVR)?AAM×2発、1,100L落下式燃料タンク×2〜3基
空対地:AGM×2発、滑空爆弾/CM×2発、WVRAAM×2発、1,100L落下式燃料タンク×1基
SEADレーザー誘導爆弾×4発、WVRAAM×2発、1,100L落下式燃料タンク×1基、
対地精密照準誘導ポッド×1基
空対艦:ASM×2発、AGM×2発、WVRAAM×2発、1,100L落下式燃料タンク×1基
偵察:モジュラー偵察ポッド×1基、WVRAAM×2発
固定武装マウザーBK27 27mm機関砲×1門
兵装
AAMWVRAAM:Rb74(AIM-9L)AIM-9XRb98(IRIS-T)?、AIM-132「ASRAAM」、
パイソン4パイソン5、V3E「アジャイル・ダーター(A-Darter)」
BVRAAM:Rb99(AIM-120「ASRAAM」)ミーティアダービー?
V4「R・ダーター」
AGM/ASMRb75(AGM-65「マーベリック」)ブリムストーン?、Spear、
BK90(DWS39)滑空型スタンドオフディスペンサー、タウラス?
AGM-154「JSOW」?、AGM-158「JASSM」、Rbs15F
爆弾類
ロケット弾
GBU-10/-12/-16/-49「ペイブウェイII」GBU-22/-24「ペイブウェイIII」
GBU-31/-32/-38 JDAMGBU-39 SDB、GBU-53/B SDB II、
「リザードII/III」レーザー誘導爆弾
「スパイス」赤外線画像誘導GPS誘導併用)誘導爆弾
通常爆弾
ロケット弾ポッド
照準装置AN/AAQ-33「スナイパー」、RECCELITE*2AN/AAQ-28(V)「ライトニング」
偵察用装備「MRPS(SPK39)」モジュラー偵察ポッドシステム
ビコン18/72C戦術偵察ポッド
DJRP(デジタル統合偵察ポッド)
その他ADM-160「MALD」空中発射デコイ、落下式燃料タンク(1,100L)、
EHUD/FPR AACMIポッド*3、BOQ-X300 ECMポッド、スモークポッド


主な採用国

南アフリカ共和国(チーターC/D?の代替。28機を購入。)
ハンガリー(MiG-29A/UBの代替として14機リース。)
チェコ(MiG-21MF/MFN/UMの代替で24機購入。2005年8月に機体納入完了。)
タイ王国(F-5の代替として12機購入。2011年から配備開始。)
イギリス(テスト・パイロット学校での練習機として採用。)
スイス(F-5E/Fの代替で30機前後の導入を検討中。)

バリエーション(カッコ内はスウェーデン空軍名称)

  • JAS39A(Adam):
    初期量産単座型。
    バウロス1、バウロス2/バッチ1、バウロス2/バッチ2の3種類ある。
    サーブ社内名称ではバウロス1はMk.1グリペン、バウロス2/バッチ1とバウロス2/バッチ2はMk.2グリペンと呼称されている。

  • JAS39B(Bertil):
    機銃を持たない転換訓練用複座型。SKとも呼称される。
    胴体が65.5cm延長され、後部座席確保のために胴体の2番燃料タンクを取り外したことにより、燃料容量が約5%減少して2,850Lとなっている。

  • JAS39C(Caesar):
    単座型にGPS端末を装備するなどA型の電子装置を改良したもの。
    バウロス2/バッチ3、バウロス3の2種類ある。
    サーブ社内名称ではバウロス2/バッチ3がMk.3グリペン、バウロス3がMk.4グリペンと呼称されている。
    国外運用およびNATO軍との連携を考慮し、プローブアンドドローグ方式の空中給油装置を追加装備している。

    • バウロス2/バッチ3:
      機体構造を変更した型。
      APUをハミルトン・サンドストランド社製のT-62T-46LC-1に変更し、データバスを5本に拡張した。
      また、コックピットは表示装置がカラー液晶のEP-17 Mk.3に変更され、計器表示も英語に変更、暗視スコープに対応した。
      その他、パイロンチャフ/フレア発射機を装備し、コミュニケーション&データリンク39(CDL 39)、ローデ&シュヴァルツ シリーズ600 UHF/VHF無線機、NATO互換のIFFを搭載した。

    • バウロス3:
      コックピット表示装置をEP-17 Mk.4に、飛行記録装置をDiRECTに変更した。
      また、新機上航法装置(NINS)と新計器着陸装置(NILS)、機内環境電子制御装置(GECU)が搭載され、電子戦装置をEWS39に変更した。
      パイロンはNATO互換のものに変更され、対応兵装が増加した。
      降着装置の強化により最大離陸重量が14,000kgに増加している。

  • JAS39D(David):
    C型同等の改良を施した複座型。
    C型と比べて全長が65.5cm長く、空虚重量が約300Kg増加している。

  • グリペンDemo:
    複座型をベースにしたグリペンNGの先行試験機。
    2008年4月23日にロールアウトし、同5月27日に初飛行した。
    既存のグリペンC/DのエンジンをRM12(F404改)からF414G(推力98kN(A/B使用時))に、レーダーをエリクソン社製PS-05/Aからタレスと共同開発したRBE2AESAに換装*4
    さらに主脚を再設計し、格納位置を胴体部分から主翼付け根部分に移動させる事でエアフレームを流用したまま40%の燃料搭載量の大幅な増加を図った。
    また、主脚の格納方式の変更に伴い、胴体下のハードポイント数が1個から2個に増加している。

  • JAS39E/F グリペンNG(next generation):
    グリペンDemoの改修を基にさらなる近代化を施した発展型。
    エンジンをF/A-18E/Fに採用されているF414-GE-39E?(F414Gの改良型、推力約10t)への換装*5、ES-05「レイブン」AESAレーダーの搭載、「スカイワード-G」IRSTの装備やコンピュータやアビオニクスの改良、衛星通信能力・改良型データリンク、改良型電子戦機器などの導入があげられる。
    また、C/D型に比べてRCSを大きく低減させている。
    ブラジルが採用したほか、スウェーデンでも既存機のE/F型への改修と新造機の導入を決定した。

  • シーグリペン(グリペン マリタイム):
    グリペンNGの艦載型。
    計画はスウェーデンと英国が共同で行い、着陸装置の強化(ノーズギアをダブルタイヤに変更している)、アレスティング・フックの取り付け、カタパルト射出用アタッチメントの取り付け、海水に対する腐食対策などが行われる。

  • グリペンUCAV
    D型を無人戦闘攻撃機化する計画。

  • グリペンEW:
    F型をベースにした電子戦機型。

    参照 http://sukhoi.s7.xrea.com/gripen/ http://www.gripen.com/en/index.htm

*1 スウェーデン語でグリフォン(有翼獅子。上半身が鷹、下半身が獅子の翼をもつ伝説上の生き物)の意。
*2 ライトニングベースの偵察ポッド。レーザー目標指示器を下ろし、0.7度の視野を有する赤外線画像方式のFLIRを搭載。
*3 戦闘訓練における飛行データの分析などに使われる記録装置。
*4 後に、SELEXガリレオ・アヴィオニカのES-05「レイブン」AESAに再換装。
*5 これにより超音速巡航能力を獲得した。

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