【カールグスタフ】 †
FFV M2 Karl(Carl)Gustav.
スウェーデン製の携帯型ライフル式無反動砲。口径84mm。
名称は、生産に関わったCarl Gustav Stads Gevärsfaktori社の名前に由来する*1。
弾頭は対戦車用成形炸薬弾*2や対人用榴弾のほか、発煙弾や照明弾、フレシェット散弾が用意されている。
成形炸薬弾を装填した場合、有効射程は700m、装甲貫通力は400mmに達するといわれる*3。
1挺あたり、射手と装填手の2名で運用される。
砲弾を装填した際の重量は16kg以上となるため、砲身の中央部に二脚がついており、掩体などから依託射撃をすることが基本である。
立射する場合は、射手と装填手が抱き合うようにして安定させる。
発展型として、ガラス繊維やアルミ合金を利用して軽量化したM3が存在し、M3-MAAWSとしてSEALsなどに採用されている。
また使い捨て無反動砲のAT-4には、カールグスタフ用の成形炸薬弾が流用されている。
現在ドイツやオーストリアでは、パンツァーファウスト3のような新世代の兵器が登場したため、照明弾を使った戦場照明機材として運用されるようになり、名称も「照明弾発射筒(Leuchtbüchse)」へと変更されている。
日本では89mmロケットランチャー(バズーカ)の後継として、1984年から豊和工業でライセンス生産されており、陸上自衛隊に「84mm無反動砲」の名で採用されている。
イラク人道復興支援活動の際には、宿営地に対する自動車突入などのテロ攻撃に対処する自衛用火器のひとつとして選ばれた。
部隊内では通称として「ハチヨン」や「カール君」などと呼ばれている。
通常は普通科1班に1門が装備されており、弾種は榴弾・対戦車榴弾・照明弾・発煙弾の4種類になっている。
現在、普通科の対戦車部隊では01式対戦車誘導弾などにとって替わられつつあり、その他の部隊(通常編成の小銃分隊等)の対装甲車両戦闘などに84mmを活用する方向で調整が進んでいる。
要目 †
種別 | 無反動砲 |
口径 | 84mm |
全長 | 1,130mm |
重量 | 16.35kg(M1)/14.2kg(M2・84mm無反動砲)/8.5kg(M3)/6.7kg(M4) |
反動 | クルップ式無反動砲 |
砲架 | 個人携帯式 |
砲口初速 | 225〜255m/s |
発射速度 | 4〜5発/分 |
有効射程 | 700m(HEAT弾)/1,000m(HE弾) |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
弾種一覧 †
名称 | HEAT 751 | HEAT 551 | HEDP 502 | HE 441B | ILLUM 545 | ADM 401 |
弾薬 | 対戦車榴弾 (タンデム弾頭) | 対戦車榴弾 | 多目的榴弾 | 榴弾 | 照明弾 | フレシェット散弾 (1,100発を内蔵) |
有効 射程 | 500m | 700m | - | 1,000m | - | 100m |
装甲 貫徹力 | 500m RHA+ERA | 400mm | 150mm | - | ||
信管 | - | 遅延信管 | 機械式時限信管 および 着発信管 | - | ||
推進 方式 | 翼安定・ロケット推進 | - | ||||
弾頭 | - | 鋼球800発を内蔵 | - | |||
燃焼 時間 | - | 30秒 | - | |||
光度 | - | 650,000cd | - | |||
照明 範囲 | - | 400m〜500m | - | |||
散布 密度 | - | 1m²あたり 5〜10発 (距離100m) |
主なバリエーション †
- M1:
初期型。
- Grg m/48(8.4cm擲弾発射機m/48):
M1型のスウェーデン軍での名称。
- L14A1:
M1型のイギリス軍での名称。
- Grg m/48(8.4cm擲弾発射機m/48):
- M2:
軽量化などの改良を加えたモデル。
- 84mm無反動砲:
陸上自衛隊での名称。
- M2-550:
照準機を改良したマイナーチェンジモデル。
- 84mm無反動砲:
- M3:
複合材料を導入し大幅に軽量化したモデル。
- M4:
チタンと炭素繊維複合材を採用し、M3よりさらに軽量化した型。