Last-modified: 2013-02-05 (火) 17:10:35 (1716d)

【エコノミークラス症候群】(えこのみーくらすしょうこうぐん)

旅客機エコノミークラスで多発した、循環器系急性疾患の一種。
医学における正式名称は「急性肺動脈血栓塞栓症(きゅうせいはいどうみゃくけっせんそくせんしょう)」。
「旅行者血栓症」「ロングフライト血栓症」などという別名もある。

本来、「症候群」とは原因が未解明の疾病を指す言葉であり、既に原因が解明されている疾病をこう呼ぶのは適切ではない。
とはいえ、患者や報道関係者に「急性肺動脈血栓塞栓症」という正式名称で説明して理解を得るのもいささか難しいものである。

通り名の通り、この症状は長距離国際線のエコノミークラスで最初に確認された。
とはいえ、ビジネスクラスファーストクラス、また鉄道や自動車でも発症し得る。
実際、トラックやタクシーなどの職業運転手や、車内で避難生活を送る被災者などが発症した例がある。
また、自力で動けない入院患者*1が発症した例もある。

直接の原因は、脚が圧迫される事による局所的な水分不足である。
水気の不足によって粘度を増した血液は固まって血栓を作り、血管に付着して血流を阻害する。
こうした血栓は脚が圧迫から解放された時に血管から剥がれ、肺動脈に詰まって循環系にダメージを与える。
それによって呼吸困難・胸焼け・動悸・冷や汗・血圧低下などの症状を呈し、最悪の場合は死に至る。
また、血栓が脳や心臓に流れついて脳梗塞や心筋梗塞を引き起こした事例も確認されている。

なお、災害や空爆に際し、瓦礫などで手足を挟まれて動けなくなった場合にも類似の症状を呈する。
特に重篤な場合は手足が完全に壊死し、塞がれていた血流が戻った途端に破壊された組織から流れ出たカリウムなどの影響でショック死する危険がある。
クラッシュ症候群と呼ばれるそうした重篤な事例において、救助が遅れて壊死が始まってしまった場合手足を切断せずに命を救う方法は未だ知られていない。

「下半身を動かして体を解す」「適度に水分を取る*2」などを心がける事で予防できるとされる。
従って、湿度の低い環境や、小さな座席に押し込められるような狭い乗り物では特に発症しやすい*3
また、下肢の疾病*4、妊娠、経口避妊薬、肥満、喫煙後などは特にこの疾病を誘発する。


*1 手足が衰えていたり中枢神経に障害がある場合もだが、精神病の患者を拘束してベッドに縛り付けた場合も含まれる。
*2 水分補給の常として、アルコールやカフェイン類は控えるべき。
*3 特に、航空機は水分で構造材を腐食させる危険があるため、キャビンを加湿することは戒められていた。
*4 サッカーや格闘技など、スポーツで脚に故障を抱えている場合は特に危険である。

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