【アメリカ海兵隊】 †
U.S Marine Corps.
アメリカ国防総省に属するアメリカの海兵隊で、合衆国における6つの軍事組織の一つ。
2016年3月現在で、現役将兵約184,000人、予備役約4万人を擁している。
モットーは「The Few, The Proud」(誇り高き少数精鋭)。
独立当初、当時のカリブ海に跳梁していた海賊を討伐するために武装船員によって編成された海兵隊を起源とする。
近代以降の軍事革命に伴って機能は変遷したが、現代でも「すべての海兵はライフルマン」というモットーに則り、隊員は兵科に関係なく小銃射撃技術の習熟を要求されている。
現在の主任務は「戦争初期段階における緊急の展開」「危急の事態における在外アメリカ市民の保護・救出」。
本土防衛を担わず海外での武力行使を前提とする外征部隊であり、通称「殴り込み部隊」とも渾名される。
この任務のために陸海空軍の全機能を備え、小規模な統合軍ともいうべき編成が成されている。
独自の戦闘艦は持たないが、兵站のために大規模な揚陸・輸送艦艇部隊を擁する（船舶の運用は海軍に委託される）。
また、必要に応じて空挺部隊も投入される。
前線に投入される主戦力には主力戦車・重砲も配備され、高度に機械化された歩兵部隊となっている。
マルチロールファイターや攻撃ヘリコプターも保有し、カウンターエアや近接航空支援も独自に実施できる。
また、海兵隊は「合衆国大統領の親衛隊」としての側面も持っており、大統領専用ヘリコプターの運用や大統領府・在外公館の警備も担当する。
海兵隊の長である「海兵隊総司令官」は統合参謀本部に籍を置く。
権限はアメリカ陸軍参謀総長・アメリカ海軍作戦総長・アメリカ空軍参謀総長及びアメリカ宇宙軍作戦総長ら陸海空宇宙軍の長と同格。
兵站管理は海兵隊内で独自に行うが、軍令や作戦については統合軍隷下で陸海空宇宙軍と連携する。
ただし、合衆国大統領は連邦議会の事前同意なく海兵隊を動員する権限を持っている。
その場合、大統領は事後48時間以内に下院議長と上院仮議長へ書面で報告する義務を負う。
議会が宣戦布告を承認しなかった場合、報告後60日以内に戦闘を終了し、90日以内に撤退しなければならない。
軍政上はアメリカ海軍省の監督下にあり、士官の養成も基本的に海軍と共通。
海軍兵学校（メリーランド州アナポリス所在）の卒業生のうち、16％程度は海兵隊の士官として登用される*1*2。
揚陸艦など一部装備の運用も海軍に任されており、派閥力学的にも海軍寄りの傾向にある。
関連：テキサスタワー乱射事件 統合軍
編制 †
- 海兵隊総軍
- 太平洋海兵隊
- 第1海兵遠征軍
- 第1海兵師団
- 第3海兵航空団
- 第1海兵兵站群
- 第1海兵遠征旅団
- 第11海兵遠征隊
- 第13海兵遠征隊
- 第15海兵遠征隊
- 第3海兵遠征軍
- 第3海兵師団
- 第1海兵航空団
- 第3海兵兵站群
- 第3海兵遠征旅団
- 第31海兵遠征隊
- 危機対応特別目的海兵空地任務部隊
- 第1海兵遠征軍
- 中央軍海兵隊
- 第5海兵遠征旅団
- 海兵隊予備役集団
- 第4海兵師団
- 第4海兵航空団
- 第4海兵兵站群
- 海兵隊特殊作戦コマンド
- 海兵隊サイバースペースコマンド(アメリカサイバー軍及びアメリカ宇宙統合軍の構成要素でもある)
主要装備 †
| 固定翼航空機 | |
| 戦闘攻撃機 | F/A-18A/C/CN/D「ホーネット」 AV-8B「ハリアー」 F-35B「ライトニング�供� |
| 練習機 | T-34「メンター」 F-5F/N F/A-18B/C/D TAV-8 |
| 輸送機/空中給油機 | C-130T「ハーキュリーズ」 KC-130J「スーパーハーキュリーズ」 ガルフストリーム�� C-12「ヒューロン」 サイテーション・ソヴリン |
| 電子戦機 | EA-18G「グラウラー」 |
| UAV | エアロバイロメント ワスプ エアロバイロメント スウィッチブレード RQ-11「レイヴン」 RQ-14「ドラゴンアイ」 RQ-20A「ピューマ」 RQ-21A「ブラックジャック」 T-20 スキャンイーグル |
| 回転翼機・ティルトローター機 | |
| 攻撃ヘリコプター | AH-1W「スーパーコブラ」 AH-1Z「ヴァイパー」 |
| 汎用ヘリコプター・ ティルトローター機 | UH-1Y「ヴェノム」 MV-22B「オスプレイ」 |
| 輸送ヘリコプター | CH-53E「スーパースタリオン」 CH-53K「キングスタリオン」 |
| 要人輸送ヘリコプター （マリーンワン用） | VH-3D「シーキング」*3 VH-60「プレジデントホーク」*4 |
| 小火器・火砲 | |
| 拳銃 | SIG Sauer M11A1 ベレッタM9/M9A1 グロック19M? M45A1 CQPB（M45 MEU（SOC）の後継） SIG Sauer M17/M18 |
| 突撃銃/カービン | M16A2/A4 M4/M4A1 M27IAR（Infantry Automatic Rifle） MK.18 Mod.1 CQB-R（Close Quarters Battle Receiver） Mk.16 Mod.0/Mk.17 Mod.0 |
| マークスマンライフル | SAM-R M39 EMR |
| 狙撃銃/対物ライフル | Mk.11 Mod.0 M110 M40 バレット?M82 |
| 散弾銃 | レミントン870 ベネリM1014 モスバーグ590A1 |
| 短機関銃 | コルト9mmSMG |
| 機関銃 | M2HB M240B M249 |
| 擲弾発射器 | M203A1/A2 Mk19?自動擲弾発射器 |
| 手榴弾 | M67破片手榴弾 AN-M14 Mk141 Mod0 "フラッシュバン" AN-M18煙幕手榴弾 |
| 銃剣・軍刀 | OKC-3S、Ka-Bar、M1859下士官刀 |
| 非殺傷兵器 | CSガス、OC剤、ラバー弾、ビーンバッグ弾、プラスチック弾、 ライオットシールド、警棒、M6/M7暴動鎮圧用グレネード、M84スタングレネード |
| 迫撃砲 | M224 60mm迫撃砲 M252 81mm迫撃砲 M327 EFSS*6（フランス製のMO-120-RT-61） |
| 榴弾砲 | M198 155mm榴弾砲? M777 155mm榴弾砲? |
| 対戦車ミサイル | M72 LAW M136 AT-4 MK153 SMAW*7 FGM-148「ジャベリン」 BGM-71「TOW」 FGM-172「プレデター」SRAW*8 |
| 携行SAM | FIM-92「スティンガー」 |
| 車両 | |
| 主力戦車 | M1A1「エイブラムス」 |
| 偵察車? | M93「フォックス」?NBC偵察車 LAV-JSLNBCRS 統合NBC偵察車 |
| 歩兵戦闘車 | LAV-25 |
| 水陸両用兵員輸送車 | AAV7A1 |
| 装甲車 | クーガー（MRAP） M-ATV |
| 対戦車車両 | LAV-AT |
| 多用途車 | HMMWV MTVR*97tトラック LVS*10/LVSR*11 10tトラック M1161/M1163 グロウラーITV IFAV*12（メルセデスベンツGクラス） ポラリス MRZR-D |
| 自走ロケット砲 | M142 HIMARS |
| 自走迫撃砲 | LAV-M |
| 対空車両 | アベンジャーシステム LAV-AD |
| 戦車回収車 | M88A2、LAV-R |
| 戦車橋 | M60A1 AVLB |
階級 †
| 給与等級 | 階級 | 同原語 | NATO階級コード | ||
| 士官 | 将官 | O-10 | 大将 | (Full) General | OF-9 |
| O-9 | 中将 | Lieutenant General | OF-8 | ||
| O-8 | 少将 | Major General | OF-7 | ||
| O-7 | 准将*13 | Brigadier General | OF-6 | ||
| 佐官 | O-6 | 大佐 | Colonel | OF-5 | |
| O-5 | 中佐 | Lieutenant Colonel | OF-4 | ||
| O-4 | 少佐 | Major | OF-3 | ||
| 尉官 | O-3 | 大尉 | Captain | OF-2 | |
| O-2 | 中尉 | First Lieutenant | OF-1 | ||
| O-1 | 少尉 | Second Lieutenant | |||
| 准士官 | W-5 | 准尉1級 | Chief Warrant Officer 5 | WO-5 | |
| W-4 | 准尉2級 | Chief Warrant Officer 4 | WO-4 | ||
| W-3 | 准尉3級 | Chief Warrant Officer 3 | WO-3 | ||
| W-2 | 准尉4級 | Chief Warrant Officer 2 | WO-2 | ||
| W-1 | 准尉5級 | Warrant Officer | WO-1 | ||
| 下士官 | E-9 | 海兵隊最先任上級曹長 | Sergeant Major of the Marine Corps | OR-9 | |
| 部隊最先任上級曹長 | Sergeant Major | ||||
| 上級曹長 | Master Gunnery Sergeant | ||||
| E-8 | 先任曹長 | First Sergeant | OR-8 | ||
| 曹長 | Master Sergeant | ||||
| E-7 | 一等軍曹 | Gunnery Sergeant | OR-7 | ||
| E-6 | 二等軍曹 | Staff Sergeant | OR-6 | ||
| E-5 | 三等軍曹 | Sergeant | OR-5 | ||
| E-4 | 伍長 | Corporal | OR-4 | ||
| 兵 | E-3 | 上等兵 | Lance Corporal | OR-3 | |
| E-2 | 一等兵 | Private First Class | OR-2 | ||
| E-1 | 二等兵 | Private | OR-1 | ||
*1 特に成績優秀な者が登用されることが多いという。
これは、旧日本海軍において、陸戦隊に配属される士官が出世コースを外れた者が回されやすかったことと対照的である。
*2 この他に、一般の大学から士官候補生学校を経て登用される者もいる。
*3 主に国内の短距離移動に用いられる。
*4 主に外遊用で、大統領の外遊時には空軍の輸送機（C-5・C-17）で現地に運び込まれる（大統領専用機のVC-25Aには搭載スペースがない）。
*5 Advanced Precision Kill Weapon System.
*6 Expeditionary Fire Support System.
*7 Shoulder-launched Multipurpose Assault Weapon.
*8 Short-Range Assault Weapon.
*9 Medium Tactical Vehicle Replacement（中型戦術車両後継型）の略。
*10 Logistics Vehicle System.
*11 Logistics Vehicle System Replacement.
*12 Interim Fast Attack Vehicle（暫定高速攻撃車両）の略。
*13 なお、現在の海軍に「准将」の階級はない。
