Last-modified: 2016-10-19 (水) 21:23:46 (159d)

【ひゅうが】(ひゅうが)

JS Hyuga(DDH-181).

1970年代に就役し、「八八艦隊」の主軸を務めていた「はるな」型護衛艦の代替として、2004(平成16)年度防衛予算で発注されたヘリコプター搭載護衛艦(ヘリコプター空母(CVH))。
同型艦に「いせ(DDH-182)」がある。

海上自衛隊初の全通甲板型護衛艦であり、大東亜戦争終結後、日本が約60年ぶりに手に入れた「航空母艦」といえる艦でもある。

また、水上砲戦能力・揚陸戦能力・固定翼機STOVL機)運用能力のいずれも持たない、純然たる「ヘリコプター空母」としては世界で初めて新規建造された艦でもある*1*2

従来の「はるな」型や「しらね」型といった「ヘリコプター護衛艦」は、艦の前部に速射砲CIWS魚雷発射管などの水上/対潜戦闘用の兵装を集め、後部にヘリコプターの格納庫と飛行甲板を備えた形態*3だったが、そのため、ヘリコプターは3機しか搭載できず、しかも最短で20分ごとに1機ずつしか発着艦させることが出来なかった。

それに対し、本艦では空母と同様の全通式飛行甲板を採用することで、ヘリコプターを最大11機まで*4搭載することが出来るようになり、また、最大4機まで同時に発着出来るようになるなど、事実上「ヘリコプター空母」と呼べる能力を持つことになった*5*6

また、艦体や上部構造物の側面には傾斜がつけられ、かつ表面は平滑に整形されており、さらに射撃指揮装置としてFCS-3改を採用し、イルミネーターフェイズドアレイレーダーに統合するなど、ステルス性を強く意識した設計がなされている。

一方、他の護衛艦のように速射砲艦対艦ミサイルといった水上戦闘用の兵装は搭載されておらず、実際に戦闘任務に就く際はイージス艦(「こんごう」型及び「あたご」型)や他の汎用護衛艦と連携して行動することとされている。
しかし、それでも高性能20mm機関砲2基に加えてESSM(4セル)・07式垂直発射魚雷投射ロケット(12セル)が搭載されており、自衛能力は極めて高い。

また、護衛隊群の旗艦として運用されることから通信・情報収集能力も高められており、防衛省自衛隊が推進している、陸上自衛隊及び航空自衛隊との三自衛隊統合運用の中核としての役割も期待されている。
その他、2番艦の「いせ」には洋上給油装置や格納庫内に起倒式のキャットウォークを追加装備している。

現在、1番艦「ひゅうが」は第3護衛隊群第3護衛隊(舞鶴基地)に、2番艦「いせ」は第4護衛隊群第4護衛隊(呉基地)に配属されている。

関連:日向(戦艦) いずも

 
181_03l.jpg

Photo:海上自衛隊 ひゅうが

性能諸元

船型全通甲板型
全長197m
全高48m
全幅33m
吃水7m
排水量
基準/満載
13,950t/19,000t(推定値)
機関COGAG方式
GE/IHI LM2500ガスタービン×4基(出力100,000hp)
推進器×2軸
速力30ノット
乗員約340〜360名
主兵装Mk.41 mod.22VLS×16セル1基
RIM-162「ESSM」*7および07式垂直発射魚雷投射ロケットを装填)
68式3連装短魚雷発射管(HOS-303)×2組(97式短魚雷を搭載)
高性能20mm機関砲×2門
12.7mm機関銃M2×7基
艦載機最大搭載機数11機、同時発着機数3機
SH-60K哨戒ヘリコプター×3機
MCH-101掃海・輸送ヘリコプター×1機
C4Iシステム海上作戦部隊指揮支援管制システム(MOF*8システム)
海上用汎地球指揮統制システム(GCCS*9-M)
NTDS*10リンク11/14/16
OYQ-10戦術情報処理装置
レーダーFCS-3 多機能型レーダー(捜索用、FC用アンテナ各4面)×1基
OPS-20C 対水上捜索レーダー×1基
ソナーOQQ-21 統合ソナー・システム
電子戦・対抗装備NOLQ-3C 統合電子戦システム
Mk.36 SRBOC対抗手段システム(Mk.137 チャフフレア発射機×4基)
曳航具4型 対魚雷デコイ×2基


同型艦

艦番号艦名主造船所起工進水就役所属
DDH-181ひゅうが
(JS Hyūga)
IHIマリンユナイデット
横浜工場
2006.5.112007.8.232009.3.18第3護衛隊群第3護衛隊
(舞鶴基地)
DDH-182いせ
(JS Ise)
2008.5.302009.8.212011.3.16第4護衛隊群第4護衛隊
(呉基地)



*1 列国の「ヘリコプター空母」は、いずれも他艦種(正規空母軽空母V/STOL空母)を転用したものであった。
*2 後の「いずも」では、排水量の増加に伴い輸送艦・補給艦・病院船としての能力が付加された(多目的空母)。
*3 この形態は、かつての航空巡洋艦航空戦艦に似ている。
  もっとも、これらの艦も当初から意図してこうなったわけではなく、計画段階では純粋なヘリコプター空母(8,300t級DLH)として作られることになっていたものが、種々の事情で見送られてこのようになった、という経緯がある。

*4 通常はSH-60J/KMCH-101などの哨戒・掃海ヘリコプターを搭載することとしているが、大規模災害時など、場合によっては陸上自衛隊航空自衛隊海上保安庁などの輸送・救難ヘリコプターも搭載可能と見られる。
*5 ただし、ハリアーF-35などのSTOVL機は運用できない。
 これらの機は高温の排気が下に吹き付けられるため、甲板の耐熱処理が必要であるが、本艦にはそういった処理はされていない上、格納庫も固定翼機を収納整備できる程の大きさではない。

*6 海自が公称している艦型は「ヘリコプター護衛艦」であるが、艦籍記号が「しらね」型までと同じ「DDH」であるため、アメリカ海軍式の分類に従えば「ヘリコプターの母艦機能を持つ駆逐艦」となる。
*7 本艦が海上自衛隊初のESSM制式配備艦となった。
*8 Maritime Operation Force System.
*9 The Global Command and Control System.
*10 Naval Tactical Data System:海軍戦術情報システム。

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