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【しらせ】 †
JS Shirase(AGB-5003、17AGB).
日本国の文部科学省が保有し、海上自衛隊が運用する砕氷艦(南極観測船)。
1982年に就役し、2008年に退役した先代「しらせ」の後継として、2009年に就役した。
特徴 †
本艦の船体は、前任の「しらせ(AGB-5002)」より一回り大きな12,500トンの排水量を持ち*1、その分、貨物輸送量も100トン増えている。
これにより、居住性を改善しながらペイロードを増やすことも可能になった。
艦首部は先代同様に最新の砕氷理論を取り入れた曲面形状となっている他、補助装備として船首散水装置なども備えられている。
また、砕氷能力の向上と船体塗装の剥離による海洋汚染防止を目的として、喫水下の構造材には耐摩耗性に優れたステンレスクラッド鋼が採用されている。
この他、貨物の積み下ろし時間を短縮するためにコンテナ方式の荷役システムが採用されるなど、初代の就役から25年間の時代の進化に合わせた新機軸が投入されている。
動力は先代と同様に、ディーゼルエンジンで発電機を動かして作られる電力でモーターを駆動させる方式を取っているが、先代が単なる「ディーゼルエレクトリック推進」だったのに対し、技術の進歩から統合電気推進になっている。
船体自体は非武装であるが、海上自衛隊が運用する軍用艦艇であることから、船内には10挺以上の銃器(64式小銃等)及び実弾を保管する武器庫があり、海賊やテロ行為へ備えている*2。
スペックデータ †
主造船所 | ユニバーサル造船舞鶴事業所 |
起工 | 2007.3.15 |
進水 | 2008.4.16 |
就役 | 2009.5.20 |
母港 | 海上自衛隊横須賀基地 |
基準排水量 | 約12,500t |
全長 | 138m |
水線間長 | 126m |
全幅 | 28m |
喫水 | 9.2m |
推進方式 | 統合電気推進方式(PWMインバータ方式) |
機関 | 三井造船製16V42M-A型ディーゼルエンジン×4基 交流主電動機×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 30,000ps |
最大速力 | 19.5ノット |
砕氷能力 | 厚さ1.5mの氷の中を3ノットで航行可能。 |
乗員 | 179名(他に観測隊員約80名) |
搭載量 | 約1,100t |
兵装 (海賊対処用装備) | 64式小銃/9mm拳銃 |
艦載機 | CH-101*3×2機、AS355/BK117×いずれか1機*4 |
観測機器 | マルチビーム式音響測深機(船底、南極海で海底地形図の作成に使用) |
*1 当初の計画では20,000トン級の大型艦となる予定だったが、日本国の当時の財政事情等から却下されてこの排水量になったという。
*2 先代にも自衛艦時代、同様の武器庫があったという。
*3 整備及び乗員訓練の都合からか、横須賀基地最寄の館山航空基地ではなく、MCH-101と同じ岩国航空基地に配備されている。
*4 こちらは自衛隊機ではなく、オーストラリアやニュージーランドの民間会社が運用する機体(毎年、業者は国際入札で選定される)。
中継基地であるオーストラリアのフリーマントルから搭載される。