Last-modified: 2022-12-20 (火) 13:34:54 (275d)
【かしま】 †
- 20世紀初頭の日露戦争開戦直前に英国に発注・建造された、日本海軍の香取級前ド級戦艦の2番艦「鹿島」。
1905年就役、1923年、ワシントン海軍軍縮条約により除籍、解体された*1。
艦の要目は香取の項を参照のこと。
- 1930年代に発注・建造された、「香取」級二等(軽)巡洋艦の2番艦「鹿島」。
1940年就役、1945年、軍の解体に伴って除籍。
その後は復員輸送に用いられた後、1947年にスクラップとして処分された。
なお、本艦に搭載されていた内火艇の一隻は解体後、海上保安庁に引き取られ、海上警備隊→保安庁警備隊→海上自衛隊で交通船として用いられていた。
艦の要目は香取の項を参照のこと。
- JS Kashima(TV-3508).
1990年代に発注・建造された、海上自衛隊の練習艦。
同型艦はない。
それまで海自では、防衛大学校や一般の大学を卒業して「幹部候補生」となった海上自衛官の洋上実務研修に、1960年代に建造された「かとり」を用いてきたが、艦隊を構成する護衛艦が、搭載兵装に艦対空ミサイル・艦対艦ミサイルを搭載するようになり、機関も蒸気タービンからガスタービンに更新されるなどの近代化が進められたため、1960年代の設計思想で建造された「かとり」では「教材」として適さなくなりつつあった。
また、幹部に着任する女性自衛官の増加に伴い、彼女たちへの対応も必要とされた。
そこで、各部を近代化した形で設計・建造されたのが本艦である。
本艦の搭載兵装は、62口径76mm速射砲1門及び3連装魚雷発射管2基と限定されたものになっており、ミサイルやアスロックの発射訓練はCIC内のシミュレーターにより行うようになっている*2。
練習艦隊の旗艦として毎年諸外国を訪問するため、艦橋には礼砲専用の小型砲も備えられている。
また、「かとり」と比べて以下の点が変更されている。
- 艦上体育で艦の全周がランニングに利用できるように船体を長船首楼型からオランダ坂構造に変更。
- 後方視界の向上および直下の司令官公室への足音防止に艦橋を半階層高い位置に変更。
- 対水上レーダーと航海レーダーの機能体験のためにレーダーを多重化。
- 日常生活系の100V・60Hz電源系の新設*3。
スペックデータ 主造船所 日立造船舞鶴工場 起工 1993.4.20 進水 1994.2.23 就役 1995.1.26 所属 練習艦隊旗艦(母港:呉) 排水量
(基準/満載)4,050t/5,400t 全長 143.0m 最大幅 18.0m 深さ 12.3m 喫水 4.6m 推進方式 CODOG方式 機関 三菱S16U-MTKディーゼル×2基
RRスペイSM1Cガスタービン×2基出力 27,000ps 推進器 スクリュープロペラ×2軸 最大速力 25ノット 乗員 360名 兵装 オート・メラーラ 62口径76mm単装速射砲×1基
68式3連装魚雷発射管×2基
礼砲×2門搭載機 なし(ヘリコプター発着甲板のみ) C4ISTAR OYQ-6C戦術情報処理装置 レーダー OPS-14C?対空レーダー
OPS-18?対水上レーダー
OPS-20?航海用レーダー
81式射撃指揮装置2型21F(FCS-2-21F)ソナー OQS-8?中周波アクティブ・ソナー 電子戦・対抗装備 Mk.36 SRBOCチャフ発射機
*1 解体後、本艦の主砲は東京湾要塞の千代ヶ崎砲台で要塞砲として転用された。
*2 このため、実際の発射機の操作を伴う訓練には随伴する護衛艦への移乗が必要となる。
*3 115V系のみだった「かとり」では、変圧トランスを各員が持ち込んでいた。