Last-modified: 2023-06-10 (土) 09:25:11 (104d)
【いずも】 †
JS Izumo(DDH-183).
海上自衛隊が2015年に就役させたヘリコプター搭載護衛艦(ヘリコプター空母)。
姉妹艦に「かが(JS Kaga DDH-184)」がある。
当初、2010年度の概算要求で取得計画が発表されたことから「22DDH」*1、また、計画時の基準排水量*2から「19500トン型護衛艦」と仮称されていた。
本艦は前作のひゅうが型に比して全長が長くなり、基準排水量も増加し、ヘリコプターの最大搭載機数も14機・同時離着艦機数5機と、ヘリコプターの運用能力も向上している。
また、陸上自衛隊の人員400名と3トン半トラック50台の輸送能力や、他艦艇への洋上給油能力(3,300キロリットルの軽油・真水:汎用護衛艦3隻分)、病院船機能(手術室および病室35床)等、さまざまな任務に対応し得る能力を有している。
その一方で、FCS-3改射撃指揮装置などの高価な装備は省かれ、搭載兵装も最低限の自衛火器のみとなるなど、他国の一般的な空母と同様、自身の交戦能力は皆無に等しくなっている*3。
このためひゅうが型以上に、他の護衛艦等との連携が重視されることとなる*4。
平成24年(2012年)1月に建造が開始され、平成25年(2013年)8月6日に進水。「いずも」と命名され、平成27年(2015年)3月に就役した*5。
また、平成24年度予算で姉妹艦が発注され、こちらは平成27年(2015年)8月27日に進水、「かが」と命名された(2017年3月就役)。
なお、防衛省では現在、本級をV/STOL空母化してF-35Bの運用を可能にする改修を進めている*6*7。
関連:多目的空母
性能緒元 †
排水量 (基準/満載) | 19,500t/26,000t |
全長 | 248m*8 |
全幅 | 38m |
深さ | 23.5m |
喫水 | 7.3m |
推進方式 | COGAG方式 |
機関 | GE LM2500IECガスタービン×4基(出力28,000ps) |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
機関出力 | 112,000ps |
電源 | GE LM-500-G7 ガスタービン主発電機×4基(出力3,500kW) |
電源出力 | 14,000kW |
速力 | 30ノット |
航続距離 | n/a |
乗員 | 約470名(乗員のみ) 約970名(便乗者等含む) |
兵装 | 高性能20mm機関砲(CIWS)×2基 SeaRAM 近SAMシステム×2基 |
艦載機 | SH-60K哨戒ヘリコプター×7機 MCH-101輸送・救難ヘリコプター×2機 定数9機、最大搭載機数14機 |
航空装備 | エレベーター×2基 寸法(幅×高さ):20m×13m(第1エレベーター)、15m×14m(第2エレベーター) |
補給能力 | 軽油・真水:3,300kL(汎用護衛艦3隻分) |
輸送能力 | 右舷中部に大型ランプを装備 陸上自衛隊の人員400名と3 1/2tトラック50台の輸送が可能なほか、 航空自衛隊のPAC-3地対空ミサイルシステムの車両も収容可能 |
C4Iシステム | OYQ-51 洋上ターミナル(MTA) OYQ-12 戦術情報処理装置 |
データリンク | リンク11/リンク16 |
通信装置 | NORA-1C 衛星通信装置(Xバンド) NORA-7 衛星通信装置(広帯域用) NORQ-1 衛星通信装置(Kuバンド) AN/USC-42 衛星通信装置 |
レーダー | OPS-50 3次元式×1基(AESAアンテナ×4面) OPS-28F 対水上用×1基 OPS-20E? 航海用×1基 |
ソナー | OQQ-23 艦首装備式×1基 |
電子戦・対抗手段 | NOLQ-3D-1 電波探知妨害装置 OLQ-1 魚雷防御装置×1式 (自走式デコイ(MOD)+ 投射型静止式ジャマー?(FAJ)) Mk.137 SRBOC 6連装デコイ発射装置×6基(片舷3基タイプ) |
同型艦 †
艦番号 | 艦名 | 主造船所 | 起工 | 進水 | 就役 | 所属 |
DDH-183 | いずも (JS Izumo) | ジャパンマリン ユナイテッド 横浜事業所 ・磯子工場 | 2012.1.27 | 2013.8.6 | 2015.3.25 | 第1護衛隊群 第1護衛隊 (横須賀基地) |
DDH-184 | かが (JS Kaga) | 2013.10.7 | 2015.8.27 | 2017.3.22 | 第4護衛隊群 第4護衛隊 (呉基地) |
*1 2012年度の概算要求で取得計画が発表された「かが」は「24DDH」と仮称された。
*2 この「基準」が何を基にしているのかは詳細不明。
*3 公称されている艦型は「ひゅうが」型と同様「ヘリコプター搭載護衛艦」である。
ただし、艦籍記号は前級までと同じ「DDH」であるため、アメリカ海軍の分類に従えば「ヘリコプターの母艦機能を備えた駆逐艦」となる。
*4 ひゅうが型も単艦での運用は想定されていないため、合目的性を改善してコスト・パフォーマンスを向上させたともいえる。
*5 本艦に替わり、「しらね(DDH-143)」(1980年就役)が除籍された。
*6 2021年10月にはアメリカ海兵隊のF-35Bを用いて本艦への着艦・再発艦テストを行っている。
*7 なお、改修後に搭載されるF-35Bは海上自衛隊ではなく航空自衛隊が運用する予定である。
*8 旧海軍の空母と比較すると、改装後の加賀に相当する。